何を信じるかよりもどう生きるかが大切な事!

夫の借金の取り立ての為に、アル中の元ヤクザから毎日の嫌がらせ、銀行、カード会社、闇金からの鳴り止まない催促の電話。

夫のDVや、末期ガンの義母の看病、子育て、自分の病気の悪化など、押し寄せてくる苦難に、疲れ果てた29歳の私は心から救いを求めていた。
1歳の長女を連れて車を走らせ、ふと目にした教会。
教会に行った事もなく何にも知らない私だったけど、とにかくそこに行けば救いがある気がした。
『すみません。初めてで何にもわからないんですけど、少し話を聞いて欲しいんですけど…』
外人の神父が出て来て『今日はこれから用事があるから又来て下さい。』と断られてしまった。
それから、又車を走らせ、次に見つけた教会。
私は恐る恐るドアのチャイムを鳴らした。 
『すみません。ちょっと話を聞いて欲しいですけど…,。』
私と同じ位の年齢の奥さんが出て来て、『今、牧師を呼びますから寒いから入って下さいね。』と中に入れてくれた。
夕食の時間帯だったにも関わらず、牧師さん夫婦は、私と娘に嫌な顔もせずに、
『外は寒かったでしょう。温かいミルクをどうぞ。』
とあたたかく迎えてくれた。
その日は雪が散らつく寒い日だった。
優しい言葉…それだけで涙が溢れてきた。
私は全てに疲れていた。
生きているだけでも精一杯の私だったけど『痛い。痛い。』と泣く姑を朝方でも夜中でもモルヒネを打ちに病院に連れて行かなくてはいけなかった。
そんな姑に
(早く死んでくれたらいいのに…)
そう思ってしまう鬼のような自分がいて、私はそんな自分が悲しくて神様に全部話して懺悔したかったとポロポロ泣きながら伝えた。
牧師さんは静かに聴きながら、
『あなたは鬼でも何でもない。
愛があって優しい人だから、そんなに苦しいんですよ。  
神様は決してあなたを見捨てない。
一緒に祈りましょう。』
そう言って 私の為に全身全霊で泣きながら祈ってくれた。
私は他人の為に泣いてくれる人に初めて会った。
それから、牧師さんは『いつでも、ここに来て下さい。毎日でも  何時でもいいから。』と言ってくれた。
誰にも頼れず、誰にも言えない悩みを聴いてくれる人がいると言う事は、どれだけ私の救いになったかわからない。 
私は1年近くその牧師さん夫婦の所に通わせて頂いた。
私は毎日お金に困っている状況だったけど、少しでも献金したいと思って僅かながらのお金を何度も渡そうとしたが、牧師さんは
『私はいいので、あなたが自分の足でしっかり立てるようになったら世の中の人に何かの形でお返しして下さい。
それが神様が一番喜びます。』
そう言って私から一度もお金を受けとらなかった。
そして1年近く色々教えて頂いたのに、洗礼を受けなさいとかキリスト教に入信しなさいとか、そう言う事も一度も牧師さんは言わなかった。
何年かしてある程度落ち着いた時にお礼に伺ったが移動で他の土地に移られていてお会いできなかった。
何とか係の人に連絡を取ってもらって、私の事を伝えてもらったけど、『あなたが幸せにならそれが何よりだから、それだけで充分嬉しいと伝えて下さい』と牧師が言っておりましたと返事を頂いた。
世の中には変な宗教も沢山あるから、宗教が悪いと偏見を持つ人もいると思うけど、私が29歳の時に出会った牧師さんは本当に神様みたいな人だった。
私は20代30代の頃は 仏教、キリスト教、万教帰一を説いている成長の家等色々な所に行って学ばせてもらった。
私が関わった方々は、自分の宗教が一番とか、自分の神様が一番など思うはずもなく、
ただ、ただ、自分の道を信じて人の心に愛や希望、平和を見出せるように淡々と生きている方々だった。
何を信じるか?
何を信じているか?
それよりも大切な事は   
どう生きるか?
毎日を、どう 生きているか?
それしかないと思う。

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