インチキ霊能者に騙されるな!(前編)

ある風俗嬢の話

 

ある時、携帯にいきなり「助けて下さい!私、ある霊能者に呪いをかけられて困ってます。」と女性が泣きながら電話をしてきた。

 

その女性は私が住んでいる所から車で1時間半位離れている所に住んでいたが、私の事を口コミで聞いて藁にもすがる思いで電話をしてきた。
電話では泣いているし、感情的になっていて支離滅裂でよく話がわからないからすぐ会う事にした。

彼女は車を凄い速さですっ飛ばしてきたみたいで1時間位で私の家に現れた。

玄関先で私の顔を見て、号泣し「怖くて怖くて…殺されるかもしれない。」とブルブル震えていた。

話を聞くと(結構長い話になります・・)彼女は家が貧しく両親が不仲だった。
父親は中学の時に何処かにいなくなり母親は愛情がない人で小さな頃からまともに食事も作ってくれなかったらしい。

彼女は中学を出たら一人で生活をするように強制的にい家を追い出され、高校は行かずに工場に就職したが字があまり書けない事や言葉が上手く話せない事でイジメられて仕事を転々として最後にたどり着いた仕事が風俗だった。

ずっと友達もいなくて寂しかった彼女に彼氏ができた。
最初は優しくしていた彼氏が数ヶ月経つとだんだん冷たくなってヒモみたいに彼女にお金をたかっていた。

大事にされていない事もわかっていたが、一人になりたくなくて彼女は彼氏の言うがままになって苦しんでいた。

そんな時、彼女の家の近くに「スピリチュアルヒーラー〇〇〇が人生を変えるお手伝いをします」と書かれた看板が目に留まった。

彼氏との事をちょっと相談しようと軽い気持ちでそこに行ったらしい。

神秘的な衣装を身にまとったヒーラーはとても優しく話しを聞いてくれて料金は最初は1時間15000円だった。

友達のいない彼女はそのヒーラーが優しくしてくれたので、何回もそこに通うようになった。

 

ところがセッションを何回受けても彼氏との仲は悪くなるばかりで良くならない事をヒーラーに聞いてみると、「あなたには霊が取り憑いているから除霊しないと彼とはその霊に邪魔されて上手くいかない。」と言われた。

 

彼女は彼を失なわない為に除霊をどうしてもやってもらわなくてはいけないと思ってしまった。

除霊の金額は一回20万円だった。

 

普通なら高過ぎるし、怪しいし誰もやらないと思うが、それまでに何回か通っていた間のヒーラーの態度が優しかったので、信頼していて怪しいとか全然思わなかったらしい。
(彼女は自分の身の上話、風俗嬢である事、貯金がいくらあるかまでそのヒーラーに話していた)

良くなる事を信じて20万円の除霊を受けた。

しかし彼氏との仲は相変わらず上手くいかない。

彼女は除霊をしたのに、彼氏ともっと揉めるようになって困って又相談に行った。
すると、「彼氏にも強力な霊が憑いているからそれも除霊しないとダメだ」と言うので彼氏の除霊代20万円も支払った。
(彼氏の除霊は彼の写真に向かって遠隔で行ったらしい)

 

そして、結果的には彼氏は除霊など全く関係なく彼女から去って行った。

それを又言うとヒーラーは「悪縁が切れるようにしてあげたから、これからもっと良い人が現れるから心配ない」と言って彼女を慰め平然としていた。

一人ぼっちになってしまった彼女はそのヒーラーを本当に頼っていた。

次にヒーラーは彼女に電話占い師になれるからやってみないかと持ちかけてきた。

家にいてお金になるし、風俗を辞めても独立できるからと熱心に誘ってその占い師の認定証らしき物を自宅で占いができるマニュアル本と一緒に100万円で彼女に売った。

 

なんだかんだと色々通わせられて、なんだかんだと色々な物を買わされて彼女は貯めていた貯金350万円を1年半でそのヒーラーの所で使い果たした。

 

そしてお金がなくなってきた彼女を自分のサロンで電話占い師として安く働かせようと、彼女に色々と命令するようになった。

最初の優しさは全部偽物だった。

 

ヒーラーは多少の霊感を持っていたらしく、彼女が驚くような神秘的な話をしたり、時には優しく思いやりのある言葉で話しかけたり彼女の心を掴むのが上手かった。

 

彼女は助けられた部分もあったので(この人の言う事をきかなければもっと大変な事になってしまう。)
と恐れて信じてしまった。

 

それから数ヶ月、一緒にいたらヒーラーの金の亡者ぶりと本当の正体が彼女にもわかってきた。

 

何回かそこを離れようとしたが「私から離れたらもっと不幸になるし、呪文をかけてあるから絶対に逃げられないよ。」と脅かされていた。

 

そんな事が本当にあるの?

なんでそんなに簡単に騙されちゃうの?

そう思うような事が実際に起きている。

 

時間をかけて少しずつ相手をコントロールしていく。
だから自分が騙されている事にも気づかない。
それが洗脳です。
(話が長いので後編に続く)